[コメント] 今度は愛妻家(2010/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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彼女・さくらがもう死んでいるとわかる前。
前半は鬱陶しい女だなぁとさくらを観ていた。「早く箱根でもどこでも行けよ」と。 「物語が進まないだろ!」と。
片付けない、仕事もロクにしない、浮気ばっかり、と罵詈雑言の夫婦喧嘩シーンでうんざりしそうになる。
そこに来てオカマ登場。もうウザい!
彼女・さくらがもう死んでいるとわかる前。
「離婚しよ」と切り出したさくらに強がりを言う北見。
それを見届けてから「じゃ、行くね」と彼女。
この時点ではまだ死んだという事実に気づかせてもらえなくて。
「じゃ、行くね」
そう言われて、急に寂しくなる。そう言われるまで傍若無人に振舞っていた過去を急に思い返して、後悔する。未練? 喪失感? 愛情? 愛情! これが本当の探し物の答えか…と。
ここに来て、前半の鬱陶しい彼女は突如として居て当たり前の存在で、居ないと急に静か過ぎて、ついつい彼女の小言を聞きに部屋中探し回る事になる。離婚記念に撮った写真を現像しても彼女の姿はどこにもなくて。ただ、沖縄の、指輪を取りに戻った彼女の後ろ姿だけ。
こんなことなら沖縄旅行の時にもっと優しくしてあげるべきだった。船のデッキで写真を撮ればよかったし、綺麗な星空を見るくらいのこと、眠たくても起きればよかった。せっかくの旅行なのに面倒臭がって。いつものように喧嘩して…。
後悔しても彼女はもう居ないのに。
永年連れ添った人が先立つということは、恐らく人生で多くの人が目の当たりにする確率が高い出来事。
そうなったら、自分はどうするだろう。後悔するんだろうか? 泣いて日々を暮らすんだろうか?
もし、後悔しそうだ、伝え切れてないことがたくさんある、と思いそうな人は、「今度は」と言わず「今日から」愛妻家になっておくべきだと思う。
正直、濱田と水川の絡みは別に必要なかったと思う。その点、差し引いて★4つ。ただ、失ってから気づく夫婦愛を描いた秀作であることには変わりない。
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