[コメント] サロゲート(2009/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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アイデアそのものは誰でも、それこそ子供から老人まで誰でも一度は考えるものだと思うけど、それがヴィジュアル化されると、これほど面白いというか皮肉になるとは意外でした。
特に後半、「本当の君と一緒に居たいんだ」という夫に、美貌の(身代わりロボの)妻が「・・・もう昔ほど若い肉体じゃないのよ」と言う妻のシークエンスは出色だったと思います。暗い部屋で妻の本体が映る。もう白髪の中年女性なんです。アイパッドを外すと泣いてる・・・身代わりロボであるサロゲートは泣かない、涙を流すのは本体である人間だけなんですね。
ただ、全体的にはストーリーはどんどん矮小化の一方で、発明者がどうとかメーカーがどうとか、どこかで聞いた様な展開です。身代わりロボが浮き彫りにするものは、そんな小さなことじゃないと思います。もっともっと凄い掘り下げ方ができる題材なのに、巨大な肩透かしを食らった気分です。
漫画ですら、例えば手塚治虫「地球を呑む」の1エピソードとか(家族が入れ替わってたアレ)、似た題材をずっとうまい使い方がされていたというのに・・・残念。
「生身で生きる事に意味が(略)」という趣旨の話なら、「生身」という事の持つ価値みたいなものを、さりげなく表示してほしかったなと思います。メーテルや鉄郎といった特殊な立場の者ならいざ知らず、普通の登場人物が「機械じゃダメ」の一言だけで押し切るのは無理があるんじゃないでしょうか?
個人的な感覚というか脱線ですが、例えば、小説「私はロボット」にでてくる、心を読めるロボットの話が名作と言われる所以は、ロボットという設定のおかげで人間(の身勝手さ?)が客観的に描写できたせいだと思います。そういうとこが、映画『アイ・ロボット』にはイマイチなかった・・・SFものってなんで映画になると骨抜きにされちゃうんでしょうか?
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