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[コメント] ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間(1992/米)

大衆向けテレビ番組と、料金を課金する映画とのメディア間格差とふくらんだ期待の無視。
カフカのすあま

リンチの「テレビ版TPリンチ・ファン=マジョリティ=大衆」に対する挑戦状?

テレビは視聴者の反応にこたえてつくられる。ウケれば延長、ウケなければ途中打ち切り。一度は確実に終わったシリーズを、新しいキャラ投入でずるずる延長しつづけたテレビバーション。どうしてあそこまでウケたのか。「謎解き」に興味がもてない私には、テレビ版こそ蛇の絵に足を書き足した水ぶくれ。

しかし、テレビの、というかこのTPムーブメントで怖いのはクチコミだろう。「ねえ、観た、みた?」で拡散する思いおもいの解釈、深読み。誰かの深読みが次の誰かに伝わるとき、「かもしれない」は「だったのだ」に変換される。そうやって語られたTPは、現実以上に謎に満ちたものだったにちがいない。

キャッチフレーズを思い出してみよう。「だーれが殺した…」。テレビ版の前半1/3くらいですでに答えが出ているのに、宣伝が世間に広まる妄想をさらに刺激する。

「そんなに答えが知りたいなら、俺が教えたろうやないけ」リンチは大衆の期待にこたえるつもりでコレをつくる。その結果は、批評家+大衆からの総スカン。あきらかな作者の越権行為。ファンはそりゃ怒るだろう。

と、いうのがアタマを冷やしてみなおしたTP論争の裏事情ではないか?

そのへんのモロモロが風化した頃、TV版TPを知らない世代がみたら、十分楽しめる映画だと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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