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[コメント] NINE(2009/米)

各女優とも、よくやるなぁ、と感嘆してしまうし、ダニエル・デイ=ルイスも女優達にイササカも負けていず、惚れ惚れしながら見てしまえるのだが、いかんせん、基本ミュージカル場面のセットが一つ(大きなクラブ風のプロダクションだけ)、というのが弱い。
ゑぎ

 ソロのダンス及び歌唱のパートだと、ペネロペ・クルスケイト・ハドソンのシーンが印象に残った。いずれもアクション繋ぎのカッティングに興奮させられる。クルスはドラマ部分も見せ場が多い儲け役。ハドソンは「シネマ・イタリアーノ」というエンドロール曲にもなる目立つ曲が与えられていて、ダンスシーンも運動量の多い振付で、得していると思う。マリオン・コティヤールは主人公ルイスの妻役なので出番が多く、一番綺麗に撮られていると思った。彼女の清涼効果は大きいが、少々弱い造型だ。そう考えると、映画スターを演じるニコール・キッドマンの扱いはカッコいいし、重要だろう。スクリプトが無い、と云って撮影所を出てしまうが、ルイスはキッドマンをアルファロメオに乗せ、「スクリプトなんか誰も気にしてない。スクリプトなんか関心が無い」と云うのだ。夜の街の坂道を歩いて行き、噴水前でやりとりする場面の照明がいい。結局、映画撮影は頓挫し、セットを壊すことになるあっけなさ。

 撮影が中断して2年後のシーン。ルイスが衣装担当のジュディ・デンチと浜辺の道を歩くカットがとてもいい。後景に丘の上の沢山の家が映っているカット。この後、チネチッタのシーンとなり、撮影が再開することになるのは、矢張り唐突過ぎるのだが、スクリプトは書けたのだろうか、もしかしたら、このエピローグはルイスの幻影なのかも知れない、と思わせる。たゞ、そんなことを考えても仕方が無いのだろう。本作全体が、夢想のようなものだからだ。ラスト、階段上にスター女優たちが登場するが、最後にソフィア・ローレンが出て来て収まりがつく。さらに暗転後のエンドロールの映像がカッコいい。もしかしたら、全編で一番カッコいいのがこのエンドロールかも知れない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)緑雨[*]

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