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[コメント] ハート・ロッカー(2008/米)

映画的感情を高揚しない映画だ。それは戦争のあり方がすっかり変ってしまったがゆえ、もはや戦争と映画とがかつてのような関係を構築できなくなってしまったことを表象しているのであろう。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主役は爆弾である。ゲリラは爆弾をしかけ、米兵はそれを解体しようとする。そこには人と人が対峙し、殺し合う、かつての戦争の、そして戦争映画の構造は成立しない。

しかしそれでも人は死ぬ事実は変わらない。ついさっきまで軽口を叩いていた人間が一瞬で絶命する。生き残った人間の精神は破壊されてゆく。

そのアンバランスさゆえに、かつての戦争映画が持っていた、観る者を直撃する映画的感情が発生せず、極めて分かりづらいものとなる。

無人ロボットを手持ちズームで追うファーストシーンで、これは即物的で技術的なものを撮ろうとした映画なのかと思った。が、そうでもない。ジェレミー・レナー登場以降、爆弾処理は手作業になる。しかも技術映画というほどの緻密さがあるわけでもない。スパイ映画のようなテンション演出もない。しかし、彼らは間違いなくとてつもない危険にさらされている。その不条理なストレスをぶつける先もない彼らは、戦友同士で腹を殴り合うことしかできない。

非常に伝わりづらいものを撮ろうとしている気がする。21世紀の、現代の戦争を描こうとすると、こうならざるを得ないのかもしれない。

ラストの復員・再着任のエピソードは蛇足だと思うが。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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