[コメント] 渇き(2009/韓国)
すげー映画ではある。ユニークな映画には違いない。
面白いかと、余韻が残ったか、と言われるとちとつらい。
肉欲があり、SM的欲望とそれとの間には境界はひけない。これは、まぁ、さんざん今までも描いた作家はいた。それと吸血欲をくっつけてボーダーラインのなさをも描いている。まぁ、そういうのも別に今までにあったよと。キリスト教価値観。生と死、ドラキュラの存在。まぁ、こういったものをごたまぜにして「どうだ」とばかりにたたきつける。
パク・チャヌク的悪趣味映像美学は健在であって、故に退屈するといったことはないし、一定水準以上の映画になっているのでさすがと言わざるを得ないが、そうはいっても、映画としての鑑賞する感想と言われると、ちょっとだれてたんじゃない?テーマも完全燃焼してないよねーっていう感じは否めない。醒めた笑いがちょっとタラちゃん系めざしてるかなーって所もないではないけど、やっぱどっちつかずかなぁ。前作とも比べればそれがパク・チャヌク流という気もするけれども。
パク・チャヌクの足跡は、復讐シリーズとそれ以後をひっくるめると「悪趣味、えげつない系」というか「普通じゃない人の悲哀」というか、一体この人はどういう方向性に進むのだろうか。作家性的に見れば、映画の才能の多様性としては価値がある存在でいてくれそうだとは思えるものの、彼の次回作が出来て、それを、自分で見ないで他人に勧められるような安心感があるかと言われると、とても厳しい。
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