[コメント] のだめカンタービレ 最終楽章 後編(2010/日)
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いろんな意味で前編よりも駆け足で薄味。
笑いも恋もキャストも演出も、全〜部、中途半端。
これで終わりだなんて納得できないですよ。
前編で匂わしていたシュトレーゼマンの「聴覚が無くなる」(もしくは死んじゃう)的な演出は単なる思わせぶりだった(?)としても、上の階に住むヤドヴィ、伏線なしで突然の登場はもったいない。どうせなら前編のうちから「上の階から変な音が聴こえてくる」的な伏線くらい用意しといてほしかった。
黒木クンとターニャの恋の行方もほったらかし。 峰クンと奥山クンは本当に単なる観光気分だし、清良が大口叩いてた割りに日本に帰るみたいだし、展開的にオクレール先生の立場はないし。
そもそも千秋がヨーロッパに向かった理由は、幼少の頃に憧れた指揮者、セバスチャーノ・ヴィエラに認めてもらうためだったはずなのに、シュトレーゼマンとしか絡んでない。
楽曲にかける時間配分に対してもそう。
清良のコンテスト、ヴァイオリン協奏曲の演奏は無駄に長く感じる。見せ方の問題もあるだろうけど、ラヴェルのピアノ協奏曲もショパンのピアノ協奏曲もどれも長い。コンサートの合間合間に、ごくごく自然に涙が溢れてくるあの、のだめの涙が今回はまったく用意されていないから、もらい泣くタイミングも全くない。
唯一まともに見られたのは、ラストの2台のピアノのためのソナタだけ。
僕はクラッシックが本当に好きなわけじゃないから。
観たいのはのだめだから。この辺りに製作者サイドと若干のズレがあった気がする。
ギャグも控えめ、ストーリーの進行は遅々として進まず、無駄に2人の気持ちをすれ違わせているだけ。エンディングも中途半端。心のドラマを謳う割りに心情は上っ面しか撫でていない。
そもそも、のだめはプロになりたいの? なりたくないの? 「プロなら常に向上心を持って取り組まないと駄目」的なエンディングだけど、幼稚園の先生は、のだめにとって単なる逃げなの? 自由にピアノを弾くことは、のだめにとっていいことなの? 悪いことなの? そこんとこ、全然明瞭じゃない。
どうしても無理やりな「尺の都合による2部構成」にしたとしか思えないデキ。
とっても不満です。きっと客の入りは多いんだろうけど、せっかくの大人気コンテンツを、こんな仕上げ方で終わらせるなんてもったいないし、満足できる筈がありません。
結局、誰一人としてヨーロッパに行った理由がハッキリしない最終楽章になっちゃいました。
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