[コメント] グリーン・ゾーン(2010/米)
グリーングラス監督は「政治映画ではなくアクション・スリラーを撮った」と言ったそうだ。本作はアクションものとしては中の中だが、最後の遠慮のない激烈な批判には、「言ったったー」という爽快感がある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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アクションものとしては夜間戦闘の場面が多くて暗くてよくわからないし、スリラーというか謎解きものとしてはサクサクすすんで、種明かしもあっさりしたものになっている。
だが随所にあるなかなか手厳しい批判は的を射ている。大量破壊兵器をめぐる真相を問い質そうとするミラーマット・デイモンに対し将軍は「君の政府は喜ばんぞ」と返す。
そもそも国防省の小役人の上げた報告を、裏取りをすることなく根拠にして開戦に踏み切った以上は、その報告の真偽などどうでもよいことなのだろう。
だから最後、その小役人が「戦争は終わった。我々は勝ったんだ」と言い捨てたシーンの直後に、新政府発足の記念すべき会議が罵りあいと混乱で収拾がつかないシーンをもってくる。
戦争が終わったどころか、ここからアメリカは終わりの見えない泥沼に足を突っ込んだじゃないかと、仮借ない批判にみえる。
片足のイラク人の「イラクのことはイラク人に決めさせろ」という真っ当な叫びも盛り込んで、アクション以上に胸のすく怪気炎が感じられる一作だった。
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