[コメント] アウトレイジ(2010/日)
後味すっきり、さわやかバイオレンス・エンタテインメント。
どこかで読んだのだが、純文学と大衆文学の違いとは、読者の基本的な価値観、世界観にゆさぶりをかけるのが前者、そうでないのが後者であるという。その分類にこの映画をあてはめれば、これはまごうかたなき大衆文学、エンタテインメントである。悪人が悪いことやって報いを受けて惨めに死んでいくのだから、こんなまっとうな物語もない。宣伝コピーのとおり登場人物はすべて同情の余地のない悪党で、彼らがひどい死に方をしても心は痛まない。と言っても彼らに対する嫌悪感というものはなく、「それだけ好き勝手やれたんだからよかったよね」となぜかやさしい気持ちになってしまった。それくらい、とにかく役者陣がみな魅力的なのだ。椎名桔平や加瀬亮のワルっぷりは、あと1時間、それだけを見ていたいと思わせるほどの吸引力があった。彼らをキャスティングした時点で、この映画の成功は半ば決まったと言っても過言ではないと思う。
あと北野武監督は「笑わせるつもりはまったくなかった」と語っているが、少なくとも私は最近の芸人映画(『しんぼる』等)よりはるかに笑えた。ついでに言うと、私の中での「痛い映画」は『ミザリー』にとどめをさすのだが、中野英雄のカッターのシーンや石橋蓮司のドリルのシーンはそれに迫る逸品だった。次、歯医者行った時は絶対に思い出すだろうなあ…。
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