[コメント] セックス・アンド・ザ・シティ2(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
これだけよく練り上げられた脚本を書くのは、日本でも笠原和夫か野田高梧&小津安二郎コンビくらいしか知らん。しかも<結婚>を多分に映画的なテーマと捉えて繰り返し取り組む姿勢なんざ、まさに小津だよ小津(言うまでもなくアプローチはだいぶ違いますが)。基本、他愛ない会話から物語が進行するしね。
ミスター・ビッグがキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)にこんな台詞を言うんだよ。
「君は結婚ということ軽く考えているみたいだから、罰として、この指輪を常に嵌めていてもらうことにするよ」
罰というのは、妻であるキャリーが、旅行中の海外で偶然出会った昔の恋人と食事をし、キスまでしたことに対してなんだけど、(まあ、これまでなぜキャリーが結婚指輪をしないのか、働く女の見栄か、リベラルな女の突っ張りか、ファッショナブルな女のセンスか知らんが、さもありなんだ)なるほど女というものは、こんな台詞をこんな風にこんなシチュエーションで言ってほしいものなのだ、ということが、男の私にもよくわかる。
よくわかる、というより、この1行の台詞のために、映画全体のエピソードが費やされているかの如しである。だって、罰を与えられるためには夫を(軽く)裏切る必要があるし、夫を軽く裏切るには昔の恋人とキスするくらいが適当であるし、昔の恋人とキスするには、同じ街の中でというよりは、遠い海外での偶然の出会いという方が遥かにロマンティックだし、という具合だ。そこから、女友だち4人が海外へ行くのを自然に見えさせるエピソードが必要となり、行かせる以上はこれまでの路線を継承するドタバタエピソードを無理なく(見えるように)組み込む必要も生じる。2時間半もかけて描くようなお話しじゃないだろう、という批判も可能かと思うが、この作品から初めてみる観客を置いてきぼりにするような野暮もせず、これまでのファンも満足させるには、最低限これだけのエピソードが必要だった、ということだと思う。
もちろんキャリーは、「喜んで」と指輪をつけることに同意する。
なんと言うか、細部にまで心遣いがなされ、かゆいところに手の届いた、ファーストクラスで行く空の旅みたいな、快適で居心地のいいストーリーなのである。
80/100(2010/06/27記)
(評価:)
投票
| このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。