[コメント] イエローキッド(2009/日)
老婆に送る田村(遠藤要)のやるせない視線。女に悪態を並べる服部(岩瀬亮)の小心。小悪党榎本(玉井英棋)の狡猾と会長(でんでん)の躊躇なき強圧。有無を言わさぬ三国(波岡一喜)の凶暴性。日常的リアル感漂う麻利子監督の「人の摩擦」の演出は注目に値する。
真利子哲也監督(81年生)の描く若者たちに、柳町光男監督の『十九歳の地図』(79年)の登場人物と同じ種類の「都市生活者としての絶望」を感じた。横浜聡子監督(78年生)の作品のベースにも同じような70年代後半から80年代前半のテイストを感じる。斎藤久志あたりから始まり、山下敦弘(76年生)に引き継がれて描かれる「コミュニケーションの浮遊」という感覚が終わろうとしているような気がする。ある時代が去り、次の何かが始まろうとしているのだと思う。
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