[コメント] ペルシャ猫を誰も知らない(2009/イラン)
ペットの外出ですら認められない規制国家では、ただこれだけの映画を撮るため、人は時には命や生まれ育った国をも捨てなくてはならない。そんなゴバディの悲しみと怒りが、彼自身を投影したミュージシャン達の姿を通して痛いほど伝わってくる。
正直言うと、この映画には映画としての目新しき表現は見当たらない。しかしただ愚直なまでに純粋にその生の姿をとらえ続けた映像表現は、自身のPVを公開することすら許されない敬愛するミュージシャンたちとの彼なりの共闘宣言なのだろう。
「体制はいつか変わるときがくる。その時まで私は映画を撮り続けるだけだ」と語る彼だが、こんな映画を作ることは望むところではなかったはずだ。それでも彼がこれを作らずにはいられなかった、その現実がつらい。
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