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[コメント] 白衣の男(1951/英)

小規模な実験に成功したアレック・ギネスが、雨の夜、社長のセシル・パーカーの邸宅を訪れる場面は最高に可笑しい。執事とのやりとり、社長令嬢でヒロインのジョーン・グリーンウッドと社長本人も出て来た後、とんでもないドタバタに発展する。
ゑぎ

 何が可笑しいって、簡潔なアクション演出が可笑しいのだ。これが、アレクサンダー・マッケンドリックの才能だろう。さらに、ギネスはすぐに、研究室を独り占めした大規模な実験にとりかかり、実験失敗と爆発を何度も反復する。ちょっと、あざとい繋ぎにも思えるが、しかし畳み掛けは見事なものだ。常に不思議な音とリズムを刻む実験装置がトボケていていい。

 ヒロインのグリーンウッドは、やはり英国映画のヒロインらしい、オールドミスの脇役タイプの女優に見えてしまうのだが(すみません、私の偏見ですが)、ギネスを色仕掛けで籠絡する場面では、上手くセクシーに見せる。

 邦題は研究者などが着る白衣をイメージしてしまうが、正しくは、原題の通り、白いスーツのことで、ギネスが発明した真っ白い繊維で作られた、ビジネススーツを意味している。終盤、ギネスがこの白いスーツを着て夜の町を逃げ回る場面では、まるで白く発光しているように見えて、面白い画になる。ラストの展開と白い繊維の見せ方は、ちょっと小咄的オチに過ぎる感覚もあるが、ラストカットの演出は、潔い上に希望も感じさせていい。

(評価:★3)

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