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[コメント] ミックマック(2009/仏)

ジュネの『用心棒』で『七人の侍』な社会派ファンタジー。社会派ファンタジーってなんだ?
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画における個人的な恨みは、単なる“発端”にすぎず、普通の復讐劇の“動機”とは異なる。要するに設定にすぎない。 従って、この映画は、心身に痛みを伴う復讐劇ではない。 しかし、作家の魂がこもった、「撃つべきものは撃つ」映画なのである。

どこまで本気が分からないが(けっこう本気らしいが)、ジュネは人の命を奪って金儲けをしている武器商人が大嫌いなんだそうである。 それを声高に叫ばず、ユーモアの中に消化する。 私は、ジュネのそういう所が好きだ。

いやもう、最初の頃のいたずらに意味があるのか無いのか分からないけどね(笑)。 あと、省略法が進化しているのに余計なおかずが多すぎて、所によっては何を描写してるんだか分かりにくいところもあるけどね(笑)。

だが、終盤仕掛けが大掛かりになるにつれ、登場人物達のいたずら度が増すのと比例して、ジュネの本気度は増すのだ。 地雷の被害にあった子供達の写真を無言で見せる時、それは最高潮に達する。 冗談の中に本気の針が仕込んである。

世界がもっとユーモアとウィットに富んでいれば、戦争なんて起きないのかもしれない。

(10.09.04 恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞)

(評価:★4)

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