[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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Facebookの部外者にとっては、Facebookの凄さが伝わらなかった。どうして5億ものユーザーを惹きつけたのか、マークの技術はどこが天才的だったのか、ほかのブログとは本質的に何が違うのか、いまいち分からない。実名の参加に限ったから?でも普通のブログだってシネスケだって実名で書けるし、ユーザーが敢えてそれをしないのは背負うリスクが大き過ぎるからであって、Facebookはその点どう違ったのだろう。それとも、気になる女の子に彼氏がいるかいないか分かるから?これだって副次的な要因に過ぎないでしょう。Facebookがハーバードの学生の生活をどう変えたのか、説得力のある演出がされなかったのが残念。そして思うのは、ネットの世界のダイナミズムは、もう映画のような映像作品では描ききれないのではという懸念だ。登場人物たちが見つめるディスプレイの先で何が起きているのか、これを映画で描くことはできるのだろうか。『サマーウォーズ』は自然法則を無視した何でもありの半現実空間としてバーチャルな世界を描いたけれども、その「何でもあり」という設定のせいで胡散臭いファンタジーになってしまった。目に見えない空間で行われるコミュニケーション、人類の到達したこの新たなステップを、映画はどう料理するのだろう。本作では不十分だったけど、今後登場する作品に期待する。
人間ドラマとしては、最高に面白い作品だった。天才・秀才・奇才が次々登場する展開はジャンプの漫画の面白さに近い。あと擬似ミニチュア撮影のカヌーレースも、スタイリッシュで良かった。『ベンジャミン・バトン』の海戦シーンもそうだったけど、話の本流とは少しずれた部分で本気の演出をするのがデヴィッド・フィンチャーの遊び心なのかもしれない。その気概、大好きです。
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