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[コメント] 冷たい熱帯魚(2010/日)

暴力性と冷静さ(利害計算)が共存しているところがリアリティがあり、恐ろしいと思った。
蒼井ゆう21

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







でんでん的な人間の恐ろしさは、衝動的に暴力が表出され、誰が見ても暴力的・反社会的なな人間なのではなく、その暴力性をコントロールしているゆえに、一見したところ暴力的・反社会的な人物には見えない(むしろ普通の人よりも「社会性」があるようにも見える)、というところであるように思う。彼の暴力性が表れるのは、それが許されるような相手や場所に限られる。この場所だったら、この相手だったら、暴力をふるっても大丈夫、というような一種の「利害計算」が働いており、それは殺人の場合にもあてはまり、ただ衝動的に殺人を犯すようなことはせず、絶対殺人がばれないようにきわめて冷静に殺人を行う。

つまり、このような人物の恐ろしさは、残酷な暴力性と冷静さ(利害計算)が共存しているところにあるように思ったのだ。それはつまり、一見したところ矛盾したように見え、共存していることが奇妙に思えるからなのだが、しかしまた、このような暴力性は、自分にとって、何か人間の中の獣的な動物的な暴力性が衝動的に表出される暴力よりも、よりリアリティのある暴力性であるようにも思えた。

(評価:★4)

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