コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] アンチクライスト(2009/デンマーク=独=仏=スウェーデン=伊=ポーランド)

ヒューマントラスト有楽町のレイトショーで観賞。女性の一人客がめちゃくちゃ多かった。たまってんだなぁ、みんな(笑)
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭。

スーパースローモーション×モノクロームの超美麗映像だけど、まあ、2011年現在となっては見慣れたレベル。モンタージュで描く冒頭数分のエピソードなら『カールじいさんの空飛ぶ家』の方が余程人生の悲哀を感じさせたし、スローモーションの使い方(適切な使いどころ)は『シングルマン』のトム・フォードの方が心得があるよ。結局、なんでやたらスローモーションになるのか、明確な狙いというか、効果がないよね、この演出には。

で、中盤もさ、エデンだとか悪魔とか虐殺とかしゃべるキツネだとか森とか腐りかかった橋とかカラスだとか鹿だとか星座だとか去勢だとか足枷(アキレス)だとか、いかにも神話チックなメタファーを感じさせるモチーフを散々列挙した挙句、それを描くのは手持ちカメラでぐらんぐらんのぐだぐだジャンプカット。正直、冒頭60分くらいはほんとキツイ。

後半、ゲンズブールがすっぽんぽんになって、ムキーてなって、『冷たい熱帯魚』の村田よろしくウィレム・デフォーのボディを透明にしようとし始めるあたりは俄然面白いが、前半部のマイナス点が大きいから結局イーブンパーな印象。これだけ、挑発的かつ意図的に衝撃的に製作った作品がイーブンパーて、それどうなのよ?

でも、この映画の良さが判る人に説得されたら、 すぐに納得できそうなポテンシャルも同時に感じる作品。

なので、★3。何とも言えない、ということです。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)サイモン64[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。