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[コメント] 浮雲(1955/日)

弱さゆえにずるくなる男と、弱さゆえにしたたかになる女。それでも互いに離れられないのは、互いの弱さを知っているからなのかなぁ。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ストーリーだけを見るとたいして面白くはない。そして長い。じっとりした男女の関係がそれこそだらだらと綴られているだけで、特に忙しない現代人からしたら、退屈で見ていられないかも知れないです。

それでも高峰秀子森雅之の演技に随分助けられたんじゃないかと思います。特に高峰秀子は屈託ないお嬢さん(『風と共に去りぬ』のヴィヴィアン・リーかと思ったよ最初!)から嫉妬に狂うみじめな女まで、色んな顔を多彩に演じ分け、ぐいぐいと作品に引きずり込んでくれました。

そして見ているこっちまで溢れる感情を抑えきれなくなるラスト。嗚呼・・・いいわ森雅之!ただ女の名を呟く、その一言に全ての感情を込める。役者ってやっぱり凄い。

ただ、やっぱりちょっと長いと思う。成瀬巳喜男監督作品初見という事で、彼の素晴らしさをまだ全然知らないので、今のうちに言わせてもらうと、良い監督はもっと的確に最短距離でラストまで持っていけるんじゃないかと。そんな事を思ってしまいました。でも黒澤作品でも初期に見た『椿三十郎』や『用心棒』などは、他の黒澤作品を観れば観るほど、その奇跡のような出来を実感しているのも事実。もっと他の作品も観て、この監督の素晴らしさを実感出来るようになりたいと思います。

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08.07.10 記

(評価:★3)

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