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[コメント] スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団(2010/米=英=カナダ)

説明しよう。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







vsインド人

対戦相手 : インド人が無闇に面白い。顔から格好、マハラジャ・ダンスに至るまで何もかもが面白い。

バトル : 訳もわからず格ゲー・バトルが始まって、ダンス・バトルが混ざってすごい。

vsマッチョメン

対戦相手 : 絵に描いたようなマッチョ・スターのジョックスっぷりが極めて丁寧に描かれていて面白い。

バトル : タイマンがいきなり多対一に変わって、リンチ喰らって、頑張ったのにさらにボコられて面白い。落とし方もご愛嬌。

vsウルトラ・ベーシスト

対戦相手 : キャラは、No.2と若干かぶるが、目ん玉光って面白い。

バトル : スリーコード・パンクのなんちゃってベースがレッチリ・ライクの超絶技巧にスコンクで吹っ飛ばされる悲哀がたまらない。ますますくだらない落ちも嫌に丁寧。

vsゴス姉ちゃん

対戦相手 : 予想はできたレズビアンのご登場。「モラーラ、おまえ、どんだけ節操ないねん?」との笑いを取る表現としては必要なお約束だ。

バトル : モラーラがふつうに強いなら、主人公がピンチになって、最後をモラーラが持ってちゃって、なんだ最初からお前が戦えばいいじゃんて思わせるような展開だったら、なお笑えたと思う。

vs斉藤兄弟

対戦相手 : ここまで実に丁寧に行われてきたキャラ作りが、突然放棄されている。たとえ紛いなりにであれ、施されてきたモラーラとのエピソードも端折られている。結論を言ってしまえば、ここから映画は自ら高くしてきたハードルを越えられなくなる。

バトル : 派手だが、電磁波の双龍vsコングが見たかったわけではないのだ。スリーコード・パンクvsスーパー・ファンクみたいな戦いのテーマが欠損している。

vsありし日の小室哲也みたいな人

対戦相手 : スリーコード・モラトリアムにとってのラスボスが業界人でセレブなプロデューサーというのはテーマ的には正しいのだけれど、ここに来て唐突に『vs. the World』のテーマ性を押し出されても、そんなことはすっかり忘れていたよ。単純にラスボスとして拍子抜け。いっそテーマなんかどうでもいいから、誰もが驚くサプライズをかまして欲しかった。実は、ラスボスはトム・クルーズでしたとか、どうだろう?

バトルも“コンティニュー”というモチーフで工夫はされているのだけれど、本当にテーマを打ち出すなら、「ゲームではコンティニューできるけど、現実はリセットきかない」って落とし方をして初めて感動に繋がるんだと思う。

こうして見ると、No.5から乗っかれなくなる理由は明確で、この監督の売りが画作りの強さとくだらない漫画描写の丁寧さ、センスによって産み出される奥行きにあるのは確かなのだけれども、映画はやっぱりテーマやモチーフの面白さが中途半端だと飽きてしまうハードルの高いジャンルなのだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ガリガリ博士[*] 煽尼采 田中

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