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[コメント] スタンド・バイ・ミー(1986/米)

原作を忠実に映像化するだけでも名作になるとは思うが、選曲が抜群だった。
G31

「僕はあの12歳のころのような友人たちを、その後の人生で持ったことがない。世間の人はどうなのだろう?」

確かこのセリフ(地の文だが)は、原作ではゴーディがテディに“Shut up!”と言ったのを受けて、少年たちが声をそろえて節つけて“I don't shut up,I grow up,and when I look at you,I puke up.Waeeeeeeh!”とやるシーンの後に続いていたと思うが、映画ではラストに来ていた。たぶん、ロブ・ライナーはこれがこの話のテーマだと思ったんだろう。私もここが一番グッときた。

もちろん、『シャイニング』の時は激高したというキングは、この映画を涙を流しながら見たのだ。そんでロブ・ライナーに「キャッスル・ロック・エンターテイメント」を名乗ることを許したのである。(だからこの映画は単に「コロンビア・ピクチャーズ」だけである) キャッスル・ロックというのは、この作品の舞台になっている架空の小さな町の名で、キングの小説では(ホラーでもホラーでなくても)よく舞台に使われるのである。こんなことはキング・ファンならみんな知ってることなんだけど、誰も書いてる人いないみたいなので、書いちまいました。

ちなみに(って、これも知ってる人は知ってるわけだが)、とあるホラー長編を書き終えたキングが、余勢(?)でサクサクッと書き上げてしまったのがこの作品で、長編とも短編とも(ホラーとさえ)言えない、中編とでもいうべきこの作品が、発表の場もないままにそのままになっていたのを、同じ様な経緯で出来た作品が4つたまったときに、“Four Seasons”というタイトルでまとめて出したので、日の目を見たのだ。どの作品がどの季節に対応していたかは忘れてしまった(これは夏だろうな)が、ここから出てきたのが、これと、『ショーシャンクの空に』『ゴールデンボーイ』である。あともう1作はなんて名か忘れた。映画化されているのかどうかも知らない。

ふとしたきっかけで白日夢に耽るゴーディ(ウィ―トン)が、大人から声をかけられて現実に戻される、そのときに「あぁー?」みたいななんとも間抜けな反応を示す。あれはまさに、キング自身の少年時代があんな感じだったに違いなく、それでキングは泣いたのだ(知らんが)。

キングの自伝的色彩の濃い(と思われる)この作品、4作の中では2番目に好きであります。

今回久し振りに観直してみて、ゴーディの兄貴、デニー役がジョン・キューザックだったと初めて気づいた。この作品に出た役者の中で(ドレイファスを別として)その後一番成功しているのは彼じゃなかろうか。キーファーもカッコよかったけどね。

85/100(01/11/20追記)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)狸の尻尾[*]

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