[コメント] 愛しのタチアナ(1994/フィンランド=独)
小品ながらカウリスマキのエッセンスが詰まっている。簡潔な物語と画面。すっとぼけたユーモア。孤独で寡黙な男。不器用なボーイ・ミーツ・ガール。ロックンロール。アルコール。煙草。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ただ、終盤のマト・ヴァルトネンのフラッシュバックは「カウリスマキ的」という言葉に収まらない驚きに溢れている。そこで起こる事柄が驚くべきなのは云うまでもないが、フラッシュバックが行われるということ自体にも驚かされる。と云うのも、カウリスマキの映画はすべて徹底してリニアな物語構造を持っているからだ。私の記憶にある限り、この他にフラッシュバックが用いられたのは『白い花びら』における一回だけだ。フラッシュバックが使われるだけで驚かれるっていうのもすごい話ですが。
このような愛すべき映画を遺作として持てたマッティ・ペロンパーは幸せなのかもしれない。しかし私はもっとペロンパーを見たかった。カウリスマキが撮るペロンパーを見たかった。そんな思いにかられたとき、私はもう一度『愛しのタチアナ』を見て、泣き笑いに暮れる。
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