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[コメント] 愛しのタチアナ(1994/フィンランド=独)

フィンランド横断、ヘルシンキからタリンへの渡航という地理の詳述に優れており、異邦人との交流は『希望のかなた』を予告している。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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女ふたりは外国から来た出稼ぎの娼婦なのだろう。男の取ったシングルの部屋に断りなく続いて入っていく描写、受付の婆さんとの訳知った目線の交換にこれが見える。カティ・オウティネンの実家はエストニアの貧しさを隠していない。一方の男ふたりは年取った文無しのロックンローラー。この二組の関係性がただの不思議映画から本作を遠ざけている。本作は不器用な男女というレベルの話ではなく、外国人娼婦にどう接するかの話である。男ふたりが女ふたりを無視して寝てしまうのも道理。だから収束でこれが乗り越えられるのが美しい。

女ふたりの宿の女将への「イヤリングをありがとう」とか、別れに際しての「作家になる」とか、唐突な発言によって背後に隠されたものが膨大であったと仄めかす作劇は短尺に見合って優れている(90年代に作家になるとはマイノリティに視線を向けるのと同義語であろう)。そしてその割に最初に閉じ込めた母親を映画が忘れていないのが面白い。ロックンロールに母親の視線は無用であることよ。毎度毎度、カウリスマキが愁嘆場で「悲愴」を鳴らすのは、クラシックを茶化すためのように聴こえる。

(評価:★4)

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