[コメント] アイ・アム・キューブリック!(2005/英=仏)
わざわざ「キューブリック」の名を選んで騙り続けるという、無謀な嘘への妄執。しかも本物と似ても似つかぬ孤独な同性愛者。何がコンウェイをそこまで駆り立てるのか、どれほどの実存的危機が彼を襲ったのか、コンセプトがネタバレしてる時点で後半の興味はその微笑ましい狂気のルーツ一点に尽きると思う。だが、有名人崇拝を茶化す笑いに逃げるだけのだらしなさ、マルコヴィッチの変態演技への甘々な依存ぶりに嘆息。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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パロディも不発。駄作である。
滑り出しのキューブリック風味はかろうじてオマージュと呼んでいい水準だが、次第に脱力し、終盤は猿真似以下の水準に沈む。中盤以降はパロディを持ち込む気力さえ失われていると言っていい。パロディの引き出しも驚くほど貧困で、基本中の基本たるステディカムすらまともに登場しないのは圧巻である。クラシックの引用も先生の作品をそのままトレースするのみで、パロディによる再構築だとか、オリジナルの凌駕といった気概を感じない。ブライアン・クックはキューブリックの助監督を務めていたとのことだが、果たして先生が助監督というものを必要としていたのか、もはや本筋と関係ないところに興味をそそられる。下手にパロディをすると馬脚があらわれること、逆に先生の偉大を証明した、その一点のみにおいて功績がある、と「最大級の賛辞」を送っておこう。
すすり泣いて哀願するマルコヴィッチにあわれを誘われ、おっようやく本番か、と思いきや、結局スルリと逃げられる。素材に対して失礼である。実際、マルコヴィッチの変態演技も、甘いコンセプトの中で垂れ流されるだけだから、実存の悲喜劇にも昇華せず、終盤の肩すかしも特段爽快でもない。序盤早々に飽きる。箸にも棒にもかからない駄作。
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