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[コメント] アリラン(2011/韓国)

キム・ギドクは純粋だ!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画で一番驚くのは、スタッフゼロの自画撮りにもかかわらず、映像の完成度が高いこと。 計算された凝ったカメラアングル。お手本にしたいような編集。 ストーリーに気が散らない分、キム・ギドクの画面作り能力の高さがよく分かる。

これは、有り体に言えば、ギドクのリハビリ映画である。 一般的には心情を吐露することがリハビリと言えるのだろうが(もちろんそうした面はあるが)、むしろ完成度の高い画面作りがリハビリになっているように思う。 いや、映像の腕に関してはリハビリの必要なんか全然ないんだよ。 つまり、完成度の高い画面作りのために、自己を客観視せざるを得ないことが、一つのリハビリなんだと思う。 言い換えれば、監督キム・ギドクが役者キム・ギドク2や役者キム・ギドク3をレンズを通じて見つめているのだ。

この演出は、ドキュメンタリーでありながら、ギドクの純粋な「観客サービス」でもある。 彼は実に映画に対して、そして観客に対して純粋である。 純粋であるが故に傷つき、純粋であるが故に重き荷を背負って歩み、その姿を客観視して涙するのだ。

(12.03.11 渋谷シアター・イメージフォーラムにて鑑賞)

(評価:★3)

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