[コメント] 犬神家の一族(1976/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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子どものころ見て懐かしいと思った。で最近見て、子どものころ見た、という懐かしさと、それ自体の懐かしい、というような二重の懐かしさがあった。その懐かしさ(あるいは記憶といってもよいかもしれないが)を構成するものは、ひとつに、物語の舞台である田舎や、旧家、などの風景、風土、故郷的なものと、戦争成金や、半ば公然とした愛人、めかけの存在、家制度、貧富の極端な差(相対的貧困水準の低さ)、戦争の痕跡、などの、日本の明治から現代に至る歴史の痕跡、また社会制度の旧制度から近代化へと移行するその過程の痕跡、という歴史的・制度的な面での懐かしさ、というものがある。そして、この物語はその懐かしさの要素が物語の主要な構成要素ともなっていると思う。例えば、愛人、めかけ、といった存在が半ば公然と許されていないところでは、そもそもこの物語は成立していないだろう。そういう意味で、懐かしさはこの物語に必須だと思われる。また、もう1つは、この作品がその後の類似の作品の原型になっている、と感じられる、というような意味での懐かしさだ。この作品の原型もまたあるのかもしれないが、少なくとも自分にとってはこの作品を基準としてその後の作品を見ているように感じられる。
そういった意味で、この映画は、謎解きよりも先に作品自体がかもし出す懐かしさという観点から意味を持つ映画。
坂口良子も島田陽子もきれいだった。坂口と金田一との絡みも面白い。
家族関係とかの説明が複雑に思え、よくわからなかった。
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