[コメント] テイク・ディス・ワルツ(2011/カナダ)
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夫と穏やかに暮らしていた女性が、近所に住む青年に惹かれ、恋に葛藤する恋愛ドラマ。
優しい夫がいながらも、自分の近くに情熱的にアプローチをかけてくれる男性が現れ、恋に葛藤する女性の心理が描かれるわけだが、この作品の場合、主人公マーゴの幸せな結婚生活を送りながらも感じる満たされない感情の正体を、それとなく描いているので、従来の作品と違ってそれほど主人公に嫌悪感が感じられない。
恐らく、マーゴにとっては結婚前にあった恋心を取り戻したくて、子作りを期待して言った寂しいという一言や恋心が湧いて甘える仕草、結婚記念日での会話などのアプローチに出るのだが、夫ルーの期待はずれの反応が、夫婦間の見えない溝になってしまっているのだな感じた。
また、アプローチをかけてくる男性に一方的に惹かれるわけではなく、一線を越えそうになった時に、何度も身を引いて葛藤する姿が描かれているのも好感が持てる。最後もマーゴは新しい生活を手に入れたが、中盤でのプールの更衣室での老女の会話を伏線に、結局、離婚する前と変わらない印象を残したのもリアリティがあり良かった。
恋愛をすることで自分の満たされない物を補えるはずなのに、時の経過と共に相手の嫌な面も見えてしまい、その感情も色褪せてしまうというテーマは現実的にもあるもので、それをただ浮気を肯定するような描写にせずに、色々と葛藤を見せる心理描写で描いた点は非常に評価できる。
ただ、この作品のテーマは結婚してるか、長年暮らしているパートナーがいる環境の人やそういった経験がある人でないと、主人公の心理をなかなか理解できず、身勝手な女性という印象で終わってしまうかもしれない。
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