[コメント] 東京家族(2012/日)
『東京物語』をほぼそのまま、無理ない形で時代設定だけ変え、エッセンスを現代に伝える、そのシンプルな手際のよさに感心する。
オープニングタイトルの出し方や、それに続く平山家の家屋を映しつつ物語に入っていくあたりなど、おお小津だ、といきなり嬉しくなってしまう。
ほぼそのままなだけに、設定や展開を一捻りした数少ない要素が印象に残る。特に、蒼井優と吉行和子が心通わせる件りはこの作品の肝で、長男の家に戻った吉行の浮かれた様子が好ましく印象深い。蒼井は、どこでどんな展開で「私、ズルいんです!」って言うのだろうかと観ていたが、結局言わないのもまた慎みがあって良い。
2人に限らず役者は総じて好演で、巧い俳優を監督がきちんとディレクションするとこうなるのだという好事例。
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