[コメント] 攻撃(1956/米)
堕ちた駄目人間ほど無残な代物はないのかも。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ジョーは死しても彼の魂は死せず。
ラストで、ジョーとクーニーの死体が並置されているのが皮肉っぽい。死んでしまったら全てが終わりなのだろうか。否。確かにクーニーなぞ誰の記憶にも残らないだろう。だが、ジョーはどうだろう。ウッドラフの電話がラストにあること。そこに微かな光明が見出せてくるではないか。
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最初、クーニーと自分が重なって見えるような気がした・・・が違った。
全身全霊の力を尽くすジョーの指先から薄ら笑いを浮かべ、拳銃を遠ざけるクーニーに人間の屑を見た。もはや彼は「臆病者」の範疇に納まりきるものではない。やって良いことと悪いことがある(怒)。2人の関係は《渾身‐腐敗》である。ところが定石通りではなく、ジョーは意を遂げずして絶命してしまう。クーニーはあっさり射殺される。
憤懣やる方なく物語的カタルシスはない。クーニーが葬り去られたのは良しとしても後味が良いとはいえない。まあ、現実にはもっと醜悪な事例もごろごろとあるのだろうな。これは軍隊に限ったことではないだろうけど。
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なんといってもクライマックスのジャック・パランス!凄過ぎる。久々に眼を釘付けにさせられたシークエンスだ。映画を観ているこちらは勿論、撮影現場にも相当な緊張感が満ちていたのではないだろうか。私も神に祈りたくなってきたほどだ。名演ならぬ「鬼演」である。
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