[コメント] 愛、アムール(2012/仏=独=オーストリア)
二人が重ねた年輪の分だけ、その愛情と誇りが重く沈殿しているかのような空間密度の濃さ。本来、賞賛されるべき「愛」と「誇り」が導き出す抜き差しならない状況。ハネケの語り口に隙がなく、見る者の感情の逃げ場を塞いでしまうだけに、ちょっときつい映画だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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信じた果てがこの結末というのでは、あまりにも救いがない。アンヌ(エマニュエル・リヴァ)に導かれるように家を去るジョルジュ(ジャン・ルイ・トランティニャン)。もはや二人には「愛」だの「誇り」だのといった感情や「肯定」や「否定」という価値の気配すらない。まるで映画そのものが認知症を患っているかのようだ。これでは人生そのものを懐疑せざるを得なくなるではないか。完成度の高さは比類ないが、あまり好きになれない映画だ。
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