[コメント] 激流(1994/米)
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制作者の意図とは違うのだろうけれど、私はこの映画を「家族再生の物語」としてではなく、「人を愛そうとしてはみたが結局は憎むにいたった青年と、人を手放しで受け入れられなかったのにそれをできるようになった男の物語」なのではないかと思った。
もともと屈折ぎみだったらしい若者が、好青年を装いつつも上手くそれを演じきれず、それどころかヘマをするたび余計にひねくれて冷たい悪い顔になっていく。
同様に、どうも愛情表現が下手で感情もろくに表せなかった男が、ヘマをするたび(逆に)体温をとり戻し身体全体で情熱的に気持ちを表しはじめる。
中盤から徐々にはじまる男たちのその反比例の方が、いきなりで陳腐な家族再生よりもよっぽど興味深い。
もちろん、そのように感じさせてくれた俳優たちの頑張りに寄るところも大きいのだろうけど。(誕生日プレゼントとしてお金をあげようとして拒否される場面のケビンや、犬くんが初めて自分の言うことを聞いてくれてはしゃぐ場面のデヴィッドなどは特に印象的。)
…てゆーか、最初から最後まで同じ<よき母親キャラ>なメリル・ストリープこそが最もつまらないんですけど。
あんなにいろんなことがあったんだから、もうちょっと変化を見せてほしかったなー。こう、もう少し疑心暗鬼ぎみになるとか狡猾になるとか、はたまた母親ではなくただの女になるとか。異様に雄々しくなるとか。
それともこの監督は、(『LAコンフィデンシャル』の監督だそうだし)女の役どころについてはそこまで重きを置かない人なのかな?『ゆりかごを揺らす手』でもうホトホトこりちゃったとか?
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