[コメント] 舟を編む(2013/日)
「善人」の「ワーカホリック」による「癒し」。控え目にいって苦手。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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昭和ブームげなレトロな職場と下宿を舞台に、珍しい職業の機微を並べて結婚、仕事、死別と、シナリオ教室のノウハウをコンピューターにかけたら出てきましたという風な薄っぺらい物語。これで出産があったら紋切型の完結だが、この主人公のキャラならまあ子供はできないよねということで、ここだけは辛うじて面白味がある。しかし何と、その描写はひとつもないのだった。こんな美味しいところをなぜ描かないのだ。訳わからん。
まあ、後半になると主人公はまなじりを決した勤勉に相努めるのだから、そんなことで茶化しちゃ駄目だよねという起承転結の法則により、何の面白味もない世界は完結していくのを「憮然」と見送るしかないのだった。主人公の面白いキャラは最後の科白で反復されるにしても、前半はああそういう設定だったねえという位な淡泊さで思い返されるばかり。
ともかく悪人がでてこない。こんなバラ色の会社があるものか。黒木華も鶴見辰吾も、なんでこんな簡単に善人に寝返るんだ。なんでバイトはああもあっさり徹夜仕事を受け入れるんだ。仕事内容や主人公の魅力の描写を忘れているため、最近の学生はこんなにいい奴ばっかりなのかという妙ちくりんな感想しか出てこない。余りにも薄い。これはもう、社会に病んだ者が想像でつくった理想郷であり、社会心理学の対象だろう。演じ手は立派なので1点加点。
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