[コメント] さよなら渓谷(2013/日)
形ばかりの不幸を、型どおりに描く。意味がないとは言わないが、趣味が悪いと思う。
「見てくれ」というような映画では、とてもない。この手の作品に出会うと考えさせられる。世の中には、観客の注意が逸れてしまうことばかりを恐れ、次から次へとイベントを起こす、長編のCM のような作品も多々ある。それらは必ずしも面白くないが、少なくとも本作品は、効率良くつまらない、とは言える。
だが、こんな極めて稀な「不幸の形」を描くことに何の意味があるのか。私たちは、あまりにも幸せな人生をおくり過ぎていて、でも漠然とした不幸を感じていて、その不幸の味を噛み締めるためにこういう作品を求めるのだろうか。であるならば、私たちの幸せな日常に潜む「不幸」そのものに目を向けて、そこにこそ切り挑んでほしいと思う。
「極めて稀な」と書いたが、レイプ被害に苦しむ女性なら現実にいる。そういう人たちが、堂々と、前向きに人生を贈っていくのを応援するような、そういう映画をこそ作ってほしい、とも思う。
この映画に言ってもしょうがないことだが。
60/100(13/09/21見)
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