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[コメント] 青春残酷物語(1960/日)

「何をカニみたいにプチプチ云っているんだ」なる川津の的確な科白以降、桑野みゆきの顔が蟹に見えて仕方がなくなる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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「自分がモノになったような気がするの」なる桑野の性の商品化論が日共系で薄っぺらい。そもそもオーシマ後年の性映画と整合性がない。映画部で学内でポルノ映画上映して(大盛況だった)民青に怒られた経験のある私としては許し難いものがある。

久我美子渡辺文雄の若い日の運動挫折が何のことか判らないのがいけない。その「総括」が先だろうに。ふたりの桑野らに対する「欲望を全部世の中に叩きつけるという方法で社会と闘っている」なる善意の解釈も、たかが美人局ではコメディでもない限り勝利する訳もない。この主題、『少年』の当り屋で再考されることになるのも、煮え切らない本作の反省があったはずだ。

ここでオーシマは当時の新左翼思想を、青春ドラマを通じて描こうとして失敗している。要はそれだけのことだろう。ただ、絵の具ぶちまけたような汚い画は好み。小津の撮影助手でキャリア重ねてきた川又昂の新時代への意欲は好感度大。

(評価:★2)

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