[コメント] 仁義なき戦い 完結編(1974/日)
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まぁそんな大同団結のオープニングから一転、すぐさま跡目争いが始まるというのはいつものこと。実際「一糸乱れぬデモ→荒れる会議」という転換で、あっという間にその表裏のギャップを表現できたんだから、やっぱり良いオープニングだったのではないかと思います。
で、そんな中で反旗を翻す宍戸錠、正直ちょっと力不足。2作目で大友を演じた千葉真一に比べると、どうしても狂気に欠けるんですよね。しかし大友ってこんなキャラクターだったかなぁ。着物とか着そうになかった気がするんですけど、心情の変化でもあったんですかね。
物語は完結編らしく世代交代モノといったところ。キャラクターは変わっていないのにも関わらず、広能がちゃんと「うるさがたのオジさん」に見えてきてしまうのが、何とも可笑しく何とも哀しいです。特に浴衣姿で松村(北大路欣也)と対峙するシーンでそれを感じたんですけど、考えてみるとこの作品って1作目の翌年公開なんですよね。武田もそうですが見事な老けっぷり。
そしてそこに新時代に切り込んでいこうという北大路欣也や伊吹吾郎といった、新しい世代が台頭してきます。たくさんの若い命が失われ、空しさだけが残るはずのこのシリーズで、何故だか「この業界の未来は安心だ!」みたいな希望が見え隠れしてきちゃいました。まぁ「戦いは終わらない」という点で言えば、これが真実とも言えるんでしょうけど、正直嬉しいような釈然としないような、何とも言えない気持ちにさせられました。
あと意外とかなり悲しかったのが槇原(田中邦衛)の死。世渡りだけでこの5作品を生き残ってきた槇原の死が、実は一番「あぁ、こいつらの時代も終わりなんだ」と感じたシーンだったりします。失ってみて初めてアイツへの想いに気がついたよ。バカだな俺って。
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