[コメント] 42 世界を変えた男(2013/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
本作での舞台は1945年から1947年。本作を観ているとジャッキー・ロビンソンの活躍により大リーグから黒人差別がなくなったかのような印象を受けるが、この「病巣」はそれほど簡単になくなるものではなく、どうやら1980年代の中ごろまで白人選手と黒人選手が一緒の風呂に入る事はなかったようである。(日本の近鉄バファローズに在籍していたオグリビーのコメントによる)
そういった事情を知っていると、素直に感動できないのは否めない。もちろん、ジャッキー・ロビンソンの功績が素晴らしいものであるという事に異論はないが、「でもなぁ・・、」と言う感情が頭の片隅に残るのである。
以上が事実との兼ね合いの話。
作品の話をすると、安心して観ていられるというか、無難な伝記映画という印象である。プレーシーンのボールがあからさまにCGなのは若干の興ざめを誘うが、その部分まで完璧に作りこむ必要はないので特に問題はないだろう。
個人的に気になったのは、周りの大人に気圧されて思わず差別語を叫んでしまう男の子が出てくるカット。そういう時代背景を示したかったというだけなのかもしれない。だが、その後にジャッキー(チャドウィック・ボーズマン)がスパイクされて治療を受けているところにリッキー(ハリソン・フォード)がやって来て「白人の少年が君の真似をしていたんだ」と話すシーンがある。このエピソードを入れるのならその白人の少年をこの男の子にするぐらいの演出があっても良かったのではないかと思う。
そういう演出を「あざとい」と捉える向きもあると思うが、それぐらいベタな演出をしても問題ない題材ではないだろうか。個人的にはもったいなかったと思う。
日本なら「文部科学省推奨」になりそうな作品。この表現をどう捉えるかは皆さんに委ねる。
(2013.11.1 シネプラザサントムーン)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。