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[コメント] 今日子と修一の場合(2013/日)

何か全てが勘違いのうえに成立しているのではないのか。東京で抱擁していたら地震で相手刺したなんて無茶で東北大震災を語っていいものなのだろうか。思い出しただけで悪寒のするカンニング竹山のレイプシーンでもう1点減点。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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この監督は感激屋なのだろう。ベタな泣かせも淡々と撮って劇伴が良ければ客は感動するだろうという古臭いノウハウに全幅の信頼を置いて、そして作り手だけが感激して泣いている様子が見えるようだ。

殴り殺してくれと云わんばかりの父の平田満を殴り殺す柄本佑、泣かせの母親宮崎美子。下町の工員が大学を目指すなんていう戦前の凸ちゃん映画のような設定。ピアノ青年の女装イジメとか、工場での柄本へのイジメとか、大学合格とか、祝賀会での謝罪とか、ありふれた泣かせが延々続く。娯楽室で弾かれるG線上のアリアを柴田理恵という喜劇女優に「鎮魂の曲よね」と涙を流させることによって、鎮魂というスタンスが茶化されてしまっているが、これは意図的なのだろうか。わざわざ自衛隊の救助活動のテレビ報道を流すスタンスはこの監督らしい。終盤、志津川駅前行バスを走らせ、津波の後の鉄骨剥き出しのビルや自動車の屋上に乗ったバス、山積みの廃車や瓦礫を記録しているのが唯一本作で貴重なところだが、柄本は震災と大して関係がなく無理矢理感漂う。

台所で包丁使っている女に背後から抱きついてちょっと、みたいなダサい演出で抱擁して震災、はずみで和田聰宏を刺して殺してしまう安藤サクラ。震災被害でこれほど無理矢理な設定もないだろう。こんなもの、別に震災映画にする必要がない。震災はネタに使われただけではないか。彼女は竹山レイプ事件のあと後半行方不明になって何のフォローもなく終盤に再登場、作業所の扉から息子に再会して涙を流して立ち去るという泣かせも当然つまみ食いにしか見えない。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ジェリー[*]

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