数ある表現芸術の中でも映像というものは、あるがままをそのままダイレクトに映し出す。それゆえにそのインパクトの重要性に作る側は責任を持つべきだと思う。このことは絶対的不文律である。なんでも映像化すればいいというものでは決してない。あんな異常な中年男女のあんな恋愛行為を私は進んで見たいとは思わなかった。この作品を芸術だと考える人間の神経を、私は心底疑わざるをえない。 あのねえ、付け加えますけど、どうしてもこれは大島渚の一人称映画の域を出て解釈する事は出来ないのですよ。本当にセックスをしている、この段階で役者は計算して芝居なんて出来やしないんだから。 なんといっていいのか。私は映像にはある程度の格調をのぞむ。これがドキュメンタリー映画ならなんとかわかる。もしそうだとしたら、誰も観やしないだろうけどね。