[コメント] メビウス(2013/韓国)
学生が撮った自主制作八ミリ映画のような「乱暴」の印象を受ける。粗雑なカメラワークとカッティングから演出意図を窺うことはできず、極端に音数が少ないのは録音とリップシンクの労を惜しんだために思える。一貫しない画調も現像(タイミング)がプロ仕様ラボの仕事でないためかしらと錯覚してしまう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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キム・ギドク自身の過去作から探すならば『リアル・フィクション』あたりに近い撮り口と云ってよいだろう。
さて「腐ってもキム・ギドク。腐らなくてもキム・ギドク」と思える点は、「人はいかにすれば性器なしにして性的絶頂に達することができるか」という問いをめぐって、「乳頭・首筋・耳介等に適度な刺激を加える」といった穏当な一般論など初めから存在しないかのごとき云い切りぶりで「石ごしごし」とかいう奇想が飛び出してしまうところだ。とは云え、その奇想度も最良のギドクと較べれば生温く、作品全体の弱さの一因を成してもいる。
切り取られた陰茎の奪い合いが始まるあたりはさすがに面白い。人間や動物などをモノとして扱うことは「映画」の原理的な面白さ=残酷さに自覚的な方法論であり(最も有名な例としてチャールズ・チャップリン『モダン・タイムス』を挙げておきましょう)、あろうことか身体から切り離された陰茎をそこに代入してしまおうという企みこそは、期待に違わぬギドク・クォリティの奇想である。
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