[コメント] ソロモンの偽証 前篇・事件(2015/日)
偽善と欺瞞を必要悪とするオトナ社会の矛盾に対して、子供は無意識のうちに非理性的に抵抗するのが常套の構図だが、ここでは裁判という極めて理性的なシステムを武器として選ぶ。何とも強引な展開だが、ギリギリのところでリアルさを保ち「次」への期待を煽る。
ややもすると「ごっこ遊び」に陥りかねない戯画的な設定が、陳腐寸前で踏みとどまるのは緊張感を持続させる成島出の節度ある演出のたまもの。
提示された課題は、表裏を成すコンプレックスとイジメ、学校や家庭からメディアにまで蔓延する無自覚な暴力の連環、保護者の責任と限界と無力、教育の意味が形骸化し組織秩序を最優先される教育機関、と多彩かつ切実。
こんな大風呂敷を広げて、いったい「中学生の校内裁判」で、どうけりをつける気なのだろうと「後編」への期待が高まる完璧な「前篇」。ハードルの上げ過ぎで自滅しないことを祈る。
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