[コメント] アリスのままで(2014/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この作品を見て感じたことは決して泣くような作品ではないということ。テーマが若年性アルツハイマーということで、もちろん見ているだけで切なくなるシーンは多い。言葉が出ない、居場所がわからない、娘のこともわからない、失禁…アルツハイマーの症状に胸が痛くなる。どのシーンもあっさりと流れていった印象を受けた。特に後半での描かれ方は顕著であると思う。自分がつらいことすらもわからない、ということの比喩であろう。または監督のつらい作品にしたくない、という意図にも見える。
アルツハイマーを患ったアリス自身の問題だけでなく、家族にも当然大きな問題である。「記憶はなくなっても愛した日々は消えない」と謳っているが、家族一人一人の愛の形がむしろこの作品のテーマであると感じた。
愛するが故に見ていることがつらい旦那、心配しているが段々面倒を見きれなくなる兄弟、そんな中で最後まで面倒を見るのは一番ケンカしていた娘。どの気持ちもよくわかり、切ない。誰のことも憎めない。だってこれが愛なのだから。愛の形は一つじゃないから。
アリスの思いはスピーチのシーンが全てを物語っている。「闘っている」でもその思いすら消えていく。迷惑をかけたくないから死にたい。しかし、その思いさえも…。どうすることもできない。だからこそ家族に向けられた映画なんだと思う。どうやって向き合っていくかが大切。
でも、だったら一人くらい感情を露わにするキャラクターがいても面白かったのにな、って思ったりもした。そしたら泣けたのに、とか。あれ、泣きたかったのかな(笑)
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