[コメント] サウルの息子(2015/ハンガリー)
始まって5分もしないうちに、ホロコーストの地獄のどん底に突き落とされる。ホロコースト体験ライド映画。水を溜めた洗面器に、無理矢理顔を押しつけられるような息苦しさがずっと続く。二度と同じ過ちを繰り返さないために目を背けずに見なければならない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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暴力的なリアリズムで地獄を描き続ける部分をこの映画の横糸とするならば、主人公サウルが拘り続ける「息子」をユダヤの正式な埋葬を施したいという愚直な意志が縦糸になっているのだが、この縦糸の部分が中盤まではサッパリ理解できない。自分の命も危ない(というか死ぬのが確定している)のに、何故そこまで正式な埋葬に拘るのか?
最後まで観てから、再度全体を見直して考えるとこの縦糸が見えてくる。 人間として生きることを完全否定された世界で、自分の生存よりも優先して自分の息子でない者の埋葬に拘るのか? それは人間として生きることを否定し、さらに人間らしく死ぬことも否定された世界において、せめて死ぬことだけは人間らしく死になせたい尊厳の物語。
映像はリアルなんだけど、物語は抽象的。
感覚的にはジェットコースターとかライドとかVRに近いのだが、見せられるモノはホロコースト。 なんだこの組み合わせ。
カンヌのパルムドールだそうだが、いろいろと凄い。
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