[コメント] ルーム(2015/米)
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7年という歳月を監禁された母と子の話。 『オールドボーイ』なんかと比べると少しパンチが弱く聞こえるが、何よりいいアクセントになるのが生まれてからずっと「ルーム」で過ごしている子どもの存在。これは独自性がある。何となく見る前から予想はついていたがルームでのやりとりが結構な割合で見せられるだろうとは思っていたが、約半分程度を占める。ルームの中と外の二層構造だった。 そうなってくるとその独自性をどう生かすかが鍵になってくるわけだが、「ルームの中」はちょっと退屈。世界を知らない子どもという独自性を生かすにはちょっと詰めが甘い。広がらない世界というのがこうも苦しいものかと見ている自分にも伝える演出か?だとしたらよく伝わりました。とても7年は耐え切れません。しかし、ここでの親子愛が後々の伏線にもなってくるわけですね。
素晴らしかったのはルームの外。初めて世界を見る子ども。閉鎖的な空間でしか生きてこなかった反動が一気に流れ込む。不安、困惑、混乱、人見知り。突然宇宙空間に飛び出された子どもはパニック。しかし、その対照的なのが母親。この辺りからの対比構図は素晴らしかった。 元の世界戻った母親。初めての世界に出会った子ども。喜ぶ母親。戸惑う子ども。しかし、慣れない母親。慣れていく子ども。 「なぜ自分だけ」という気持ちも非常によくわかる。別に罪のない周りに当たりたくのるのも理解できる。そしてそんな中で子どもを育てた自分を責める気持ちも。
ただ5歳の世界を知らない息子からすれば母親の行動は「一人で天国にピョンしようとしてエイリアンに撃退された」に過ぎないわけで。母親が「よくないママね」と言っても「でもママだよ」ということに代わりないわけで。 後半からの見事な展開と母親のブリー・ラーソンはもちろんだが、子役のジェイコブ・トレンブレイ君の熱演には拍手を送りたい。
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