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[コメント] ヴィジット(2015/米)

「俺たち、お互い(家族)のこと、何にも知らないね・・・」(『おそ松さん』第一期13話「トド松のライン」より)
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







・・・っていう「家族は一番近い他人」の嫌な気づきの怖さで押し通してくれればよかったのに。あくまであの狂った老人とは血が繋がっているのだと。それでも殺すべき時は殺さなければならないかもしれない、という背徳感、恐怖。どんでん返しの驚きだけのために、その日常の延長線上にある恐怖の感覚が犠牲にされている。オチ以上のものがないというシャマランへのイメージがあるのだが、そのイメージをやはり覆してはくれなかった。もったいなくないだろうか。ショッカー演出は結構嫌ぁな感じがあって悪くない。

婆さんは執拗に菓子を作って貪り食らい、子供たちにも勧める。自らは吐く。爺さんは排泄に問題を抱えている。何か暗喩的な意味づけがあるのではないかと思ったのだが、特に意味はなかったようだ。

姉は鏡を見ない。自分は無価値と思っているから直視できないのだ、と弟に指摘されて涙を流す。この後婆さんとの対決があって、姉は頭を鏡に叩きつけられ(この際に鏡を見る)、鏡の破片で老婆を撃退する。この一連の流れがトラウマ克服という点で有機的につながっているのかよくわからない。繋がり過ぎてもおかしいのだが、弟のタックルシーンがあるのだから同様の意味を見出したいのだろうが、老婆の殺害で前を向くというのはどうもよく飲み込めない。

あと、最後に弟くんのラップが入るが、あのご機嫌感を入れると「全部姉の脚本の自主映画でした、ちゃんちゃん」的な雰囲気が生まれてしまわないか。極度の潔癖症の彼がウンチを顔になすりつけられて二週間で立ち直れる訳がないのである。カメラがうますぎる(都合が良すぎる)のはそれが理由だと説明できなくもない。仮にそういうオチだったとして、それで何か映画的なサムシングが生まれているのだろうか。やはりわからないのである。

(評価:★3)

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