コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 栄光のランナー 1936ベルリン(2016/米=独=カナダ)

これは「人種」というタイトルの一編だが、あるいは「スポーツマン」また「映画人」という主題をも抱えた作品とも言えるのではないか。おのれの自負をこめたその呼び名を隠さない者は、決してつまらぬ既成のカテゴリーを前に自らの価値観を塗り替えることはない。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公ジェシー・オーエンス(ステファン・ジェイムス)という起爆剤を前に、ベルリン五輪ではともに競い合ったドイツ選手カール・ルッツ・ロング(デヴィッド・クロス)が彼に友情を捧げ、また彼の美しい戦いを映画監督レニ・リーフェンシュタール(カリス・ファン・ハウテン)はフィルムに残す。彼らはナチ協力者であるが、同時に普遍的な価値を尊び自分のもつ一芸に命を捧げた人間だったのだ。オーエンスをとりまく合衆国の状況は、超人的な活躍を見せ栄光をたずさえて帰国したのちも好転するわけではなかったが、そうであるがゆえに誇りをもった人々の理解を獲得できる事実は明確であり、それを引き出せたオーエンスの勝利の価値は不朽のものであると断言できるだろう。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)セント[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。