[コメント] 彼は秘密の女ともだち(2014/仏)
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世界は男と女でできている。世の多くの物語もそうだった。これは一対の物語である。 そこにゲイ、同性愛者が加わる。男と女に加え、男と男、女と女という3つのパターンになる。
ところがこの映画は、女装癖のあるノーマルな性癖の男、同性愛に無自覚な女の組み合わせ。まったく面倒くさい。こんなのが出てきたら、もうその組み合わせは一体何パターンになるんだよ?
世界は多様化しているんだと思う。
『トッツィー』(1982年)も『お熱いのがお好き』(1959年)も、やむなく女装する話だった。 前者は職業上の理由から、そこから遡ること約20年の後者は命の安全上の理由から女装のやむなきに至る。 言わば、生理的な第一次欲求に近い理由から、社会的な欲求への変遷である。この2本の変遷だけでも興味深いが、約30年後の本作がその変遷の延長線上にあると思うと、欲求の段階的進化と一致しているようで、さらに興味深い。
欲求が進化すれば自然と多様化する。混迷する時代などと言われるが、私は「多様化した時代」なのだと思う。性癖に限らず、様々な面で。そして多様な価値観を受け容れるべき時代なのだとも思う。狭い価値観、一方的な価値観に凝り固まっていると争いの原因となる。戦争やテロなどが最たる例であるように。
もしかするとこの映画は、アダムとイブの物語に囚われたキリスト教的な狭い思想への挑戦、挑発なのかもしれない。 それを声高に叫ばず、冒頭から「ザ・映画」とも言える映画らしい画面を積み重ね、佳作としてまとめたオゾンの手腕。さすがオゾン。 あ、フランスだからTHEじゃないのか。えーっと、ル・映画・
(15.08.09 新宿武蔵野館にて鑑賞)
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