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[コメント] 湯を沸かすほどの熱い愛(2016/日)

自分がもし死の宣告を受けたらどうするだろうか、と考えた。死を受けても弱味を見せない母親の姿はやっぱり女性の方が強いんだと感じさせた。
deenity

**ネタバレ注意**
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よく巷でも言われていますが、今年の邦画は当たりが多い。本作ももちろんその類だが、感覚ではヒューマンドラマ的な作品は強いですね。下手にいろんなところに手を出してかじるだけじゃなくて、良い所を伸ばすのも大事だと思う。それくらい見て良かった、って思わせる作品が増えているのは素敵なことだ。

本作も本当に素敵な作品です。主演の宮沢りえが最高のお母ちゃんを演じています。 余命2ヶ月と宣告され、絶望に打ちひしがれるではなく、もちろん落ち込みはしましたが、娘の電話でフツフツと真っ暗な銭湯から湧き上がってくる様子は残りの命のタネを燃やし尽くすかの如く、全力で生きることを表現していました。

娘へのいじめ、蒸発した旦那、旦那の連れ子、毎年タカアシガニを送ってくる人だったり、自分の母親だったり、とにかくいろんなことを最後の最後までやり通す。 その真っ直ぐな姿勢がとてもクールで、「逃げない」と決めたお母ちゃんの潔さにどんどん惹かれていく。 それは見ている観客はもちろんのこと、道中で関わる人身内でも何でもない人までも魅了し、「この人のためだからやってあげたい」って思いに繋がってくる。こんな懐の深いお母ちゃん、なかなかおらんぜ。

映画館に響くすすり泣きの声にも納得。ま、自分は泣いてないんだけども(笑)それでも宮沢りえの強く、それでいて、弱い、「死にたくない」という声はグッとこみ上げるものを抑えるのに必死だったのも事実。伏線もしっかりと回収していき、ビシッと最後に締めてくれた、お母ちゃんの『湯を沸かすほどの熱い愛』に溢れた感動の作品だった。

(評価:★4)

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