[コメント] 沈黙 -サイレンス-(2016/米)
キリスト教に限らず欧米の思想を本気で信じている人間は「日本の風土」と対決せざるを得ない。その普遍的な問題の源流を江戸時代初期のキリシタン弾圧に求めたのが原作だ。スコセッシは溝口や黒澤から日本に対する映画上の冷徹な眼を獲得したのだろう。そして傑作と呼ぶに相応しい作品を撮った。
そういうわけで、実はこの映画はキリスト教を解さなくても分かる。
逆に普通のカトリックの人はこのキリスト像に違和感を持つことも多い。
まあそれだから原作はノーベル賞を逃したし、この映画も賞レースとは無縁だったわけだけれど。
ではかと言ってキリスト教の映画では無いのか?と言われればキリスト教の映画である。
キリスト教と本気で向き合っているからこそ、欧米とローカルな文化とのガチ衝突という普遍的主題に到達できた。
最後の誘惑を観ていないからそこまでスコセッシの意図を理解できないのだが、カトリックの人も一枚岩じゃないんでしょうね。
イッセー尾形のキャラクターが、内面は鬼だが表面的には礼儀正しいという日本人の典型で、これを見事に演じています。
他の日本人キャストもポテンシャルを十分に発揮している。
撮影も良いし、殺陣も良い。
本当に贅沢。
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