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[コメント] ぼくは明日、昨日のきみとデートする(2016/日)

原作既読。設定の矛盾点はいろいろあるけれど、問題はそこじゃない。高寿目線の前半から「秘密」が明らかになる後半、そしてそれを踏まえての福寿愛美ちゃんの涙の理由を知ると、いじらしくて貰い泣きしてしまう。個人的には福寿さんは若い頃の宮崎あおいのイメージ。以下は原作のネタばれ含む映画におけるマイナスポイント→
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作が僕の中では★5つの作品ゆえに物足らなかった、改悪点が多く目に付いた。

1.福寿さんとの出会いのシークエンスが短すぎる。高寿の目に偶然愛美が留まるように見えて、その実その場所まで愛美が辿り着くまでのちょっとした苦労も省かれているし、電車を乗り換えてまた同じ車輌になるまでの高寿の心の葛藤がかなり省かれているせいで、二人が出会う「偶然に見える必然性」が薄れてしまっている。

2.福寿さんと初めて出会った日にお互いに自己紹介する場面。 「福笑いの福にことぶきと書いて福寿です」 この台詞は愛美のユーモアな一面を初めて描いている部分。割愛してはいけない。

3.箱の中の写真が、宝ヶ池で撮ったツーショット写真から、高寿の家族と撮った写真に変更されている。それによって宝ヶ池の存在意義が薄れてしまう。

4.愛美が真実を話す日の髪の長さ。 原作では、時間の逆行を説明するために、愛美の髪が突然腰まで伸びる。もちろん愛美は翌日髪を短くするので、高寿はこの日に至るまで短い髪の愛美しか見ていない。ココ、結構重要なシーンなので逆撮りするか、ウイッグを使ってでも原作通りにしてほしかった。

5.阪神淡路大震災の際のエピソードを宝ヶ池で溺れたエピソードに無理やり変更して話のスケールや撮影エリアをこじんまりとさせてしまっている。明らかに手抜きと予算の削減がバレバレで悲しい。

その他諸々。高寿視点パートの愛美のワンショットになるとハレーション気味、露出過多な映像。彼女の美しさの演出かもしれないが、多すぎる。

原作にはない高寿が愛美と付き合いだしてお洒落になる演出も結構ウザい。特に高寿が眼鏡を外して(コンタクトに変える必要なんてないしそんな会話も描かれていない)、イケメンの本領発揮となると物語の核心がブレる。原作では描かれていないが、中庸な容姿であることは想像に難くないのだから。愛美は決して高寿の容姿に惚れたわけではない。

愛美の服装も次第にシックなものからカラフルなものに変わっていくが、原作では 「上品な」「完璧な」「女の子らしい」というイメージに留めているのだから、余計な演出は控えてほしかった。

ふたりとも好きだし、観たい俳優・女優ではあるけれど、本作ではミスキャストのような気がした。

どうでもいいことだが、二十歳同士でなくとも十五歳と二十五歳でも恋愛は成立するように思う。淫行チックにはなるが......笑

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)サイモン64[*]

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