[コメント] サバイバルファミリー(2017/日)
矢口史靖監督の作劇にはいつも精度があるし、コメディーとキャラ成長の物語がうまくコントロールされている印象だったが、今回のモチーフは、チャレンジングではあったが、何だかこの監督には向いてないな、とがっかりする。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ、一種の文明批判ともいえるモチーフで、とてもデリケートな側面があるし、大停電というSF的な大風呂敷の説得力が、やはり画面から伝わってこない。
昨今、EMP攻撃だのと物騒な話題も多い中、ただ、ごみが散乱した街を映してみても、こんなもんで済むのかよという甘い見通しが、観ている者を白々しくさせる。
その時点でこの家族のロードムービーはもはや嘘臭くなり、コメディーが立脚する足場を失う。
車の走らない高速道路を、自転車や、人間の群れが大移動するという絵は特段珍しくもないし、
かといって、蒸気機関車の登場が功を奏したかと言えば、唐突すぎて、どれもこれも心を揺さぶらない。
矢口監督はもっとクローズドな舞台設定で箱庭的な良質コメディーを突き詰めてほしい。
一番良かったのは、時任三郎と藤原紀香らのポジティブ家族。
こういう人たち、いるよねぇー。こいつらほんとにこの期に及んでどこまでポジティブでいられるか、こっちの家族との対比を観てみたかった。
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