[コメント] ラビング 愛という名前のふたり(2016/米=英)
2台の車による公道のレースシーンから始まる。チキンレースではないのだが、『理由なき反抗』を思い起こす。しかし、この冒頭から、基本的に激しい暴力は描かれない。全編、静謐で簡潔な演出が基調となる。
ただし、怖い場面は怖いのだ。まず、前半は保安官のマートン・ソーカスが怖い。ただならぬ面構えで緊張感溢れる。いつ殴られるかとヒヤヒヤしてしまう。この人が前半しか出ないのが残念だ。あるいは、車の中に、何者かによって、レンガが一個置かれている、という状況だけで怖い。この後のシーンは、どこからか暴漢が飛び出してくるのではないかと、画面外が気になってしようがなくなるのだ。このあたりは、上手い演出だと思う。
中盤、ボブ・ケネディへ嘆願書を書いたことで派遣されて来る、ニック・クロール演じる弁護士の登場以降、プロットが転がり出し、面白くなる。それと共に撮影もさらに調子が良くなり、草原の中の隠れ家に着いた際の、夕方の陽の光の表現だとか(顔に照らされる斜光が美しい)、マイケル・シャノンがライフ誌の記者として登場してからの夜の室内の場面、そしてラスト近くの雪の農場の風景もいい。
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